WISCを受けるのを待った理由

発達凸凹
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ニュージーランドで初めに受診した小児科医に、WISC(ウェクスラー式知能検査)を受けるのはもう少し待った方が良いと言われていたのだが、日本に帰国する前にどうしても受けたくて、(コロナで延期になったりと紆余曲折はあったが)出発の1週間くらい前にギリギリで受けることが出来た。

検査を受けるのを待っていた理由は2つあるが、主な理由はバイリンガルであることの言語問題
そしてもう一つの理由は年齢だ。

言語の問題

バインリンガルの子供の場合、2言語を話すことが出来て便利な一方、(当然ながら)1言語あたりに接する時間は、モノリンガル(1ヶ国語を話す)の子供の半分になってしまう。
単純に語彙が半分、とは全く思わないけれども、単言語で育てていたら触れていたであろう単語に、触れることなく通り過ぎる結果になるのは避けられない。
長男の場合、0歳から2歳までは家庭、2歳から4歳までインターナショナルプレスクール、4歳から5歳は日本の認可保育園、6歳から7歳をニュージーランドの公立小学校、と来ている。
自宅では基本的に、父が英語、母が日本語を話す。

WISCの検査において、言語に関する検査も大きなウエイトを占めるうえに、指示も全て言葉で行われる。当時、英語圏に住むのが初めてだった長男。日常会話においてはバイリンガルに思えたが、改めて語彙の検査などをするに当たっては、、実際の「言語習得能力」以下に出る可能性が高かった。

なので、英語が母語としてしっかりと根付くまで、少なくとも1年、出来れば1年半は待った方が良いのではと、医者に言われたのだ。

年齢の問題

そもそも発達障害を疑っていた私たちに、会ってすぐにギフテッドの可能性を示唆したのはこの先生だった。
メディアに取り上げられるような天才児では全くない息子を連れて、首を傾げる私たちに
「言語や数学が突出している場合は分かりやすいけれど、空間認知能力などが突出している場合、とても分かりにくいし、見つけ出すのが難しいので、もう少し年齢を重ねて色々なことが明確になってからの方が良いだろう」
と言われた。

その時、私たち親はあまりピンと来ていなくて、むしろ
「できることならすぐにでも病名(?)を知ってスッキリしたいし、これからの方向性を決めてやるべきことを始めたい!」
という気持ちだったのだが、今思えば、待って良かったなと思っている。

もしも待たずに受けていたら…

NZ引っ越し当初に受けていたら、平均程度の値が出ていた可能性は高いのではないかと思っている。
日本を発つ直前に受けたWPPSIの結果は至って平均的な数値だったし、英語の問題もあったし。
(日常生活では問題なかったが、WISCの検査内であるような「islandってどんなものか、説明してください」みたいな質問に、英語でどの程度対応できていたか甚だ疑問)
引越により環境が大きく変化した直後で、全体的に落ち着きもなく、集中力もかなり低かったのではと思う。

実際の能力よりも低く出る、ことの意味

「実際の能力よりも低く出るおそれ」と書くと、「そんなに良い点数取りたいんかい?」と、なんか嫌な感じなのだが、別に高IQを謳って喜び勇みたいわけではない。
そもそも、どんな検査だって正確な数値を出すために受けるわけだから、実際よりも高くても低くても、受ける意味がなくなるだろう。
どこで読んだか忘れたが、WISCの数値は、体調などで低く出ることはあっても、まぐれで高スコアが出ることはない(出せない)、のだそうだ。
つまり、間違って高く出るおそれはないが、低く出るおそれだけがあるのだ。

そして低く出た場合、どうなるか。
NZのお医者さんが心配していたのは「ギフテッドではない」という判定を「間違って」受ける場合であった。
「ギフテッドではないという誤判定を受けた場合、それを覆すのは容易なことではないので」
と彼女が危惧していた意味が、あれから様々なリサーチをした今なら分かる。

親のサポート、学校での配慮、環境調整、全てが少しずつずれてしまう、もしくは適切なサポートに辿り着くのが遅れる可能性がある。
例えば多動ひとつとっても、ADHDから来るものなのか、高IQ特有の退屈によるものなのかで、適切な対応は変わってくる。ムービングクッションを与えても治らない多動が、難解な参考書を読ませることでスッと落ち着くなんて、知らない先生がいても責められない。
また、本人にとって有用なはずのギフテッド児向けのプログラムに入れない、もしくは、違うと思って本人や周囲の大人が、入ることを検討しない、など。
適切なサポートと繋がるために、とにかく本人の状態を出来る限り正確に把握し、サポートを探すための適切なキーワードを知ることは、とても重要だ。
そしてそのキーワードは、長男の場合「ギフテッド」であった。
(この呼び方が良いか悪いかは置いておいて、最も周知されている呼び方を知る必要がある)

というわけで、ギリギリまでじっくりと待った私たち。
英語圏に引っ越してから18ヶ月。語彙も随分と広がってきて、知的にも発達が進み、考え方の癖なども明らかになってきた7歳1ヶ月の時点で、長男はWISCを受けることとなった。

次回は受けた当日の様子について。

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