校長とSENCOに面談

NZ教育
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前回の記事(「ギフテッド児向の塾を発見!」)にて、週1で民間塾に通うことにした話を書いた。
とりあえず、私たち夫婦の中では通わせることを決めたのだが、学校側に伝えなければいけない。
少しずつ様子を見つつ進めていったのだが、学校の事務に連絡を入れた時点で、校長と面談をすることに。
結果、話してよかったのだけれど、思うところもあったので、ブログに書いておこうと思う。

塾に相談

週に1度学校を休むことを、学校側に伝えなければならないが、他の保護者さんたちはどうされているのか、塾の先生に尋ねてみた。
我が家の場合、学校の授業についていけてない訳でも、不登校になっている訳でも、私たち親が学校不信を感じている訳でもない。
本人も楽しく通っているし、なんの問題もない中で、週に1日まるっと休むわけだから、反応が心配だったのだ。

塾の先生曰く、もうそれは担任による、とのこと。
大抵の場合はスムーズにいくが、先生によっては難色を示す場合もあるそう。確かに、自信のない先生だったりすると、自分が十分に対応していないことを責められているように感じることもあるかもね。
ただ結局のところ、学校にNOという権利がある訳でないので大丈夫よ、とのこと。

塾の同級生の保護者に相談してみる

初日に気づいたのだが、塾の同クラスの中に、長男の同級生のお姉さんがいた。
通っている理由は知らないが、ママさんは小学校でアシスタントティーチャーとして働いている人なので、学校の事情にも詳しいだろうと思い相談してみることに。
夫が電話で少しだけ話したが、学校側には特に問題ないはずとのこと。オフィスにフォームがあるので、それに記入して提出するだけらしい。

塾に通っているお姉さん、もしやお仲間?ニューロダイバース?同じ悩みを共有できる? と、一瞬期待したのだが、あっさりと話しただけだった。
我が家はニューロダイバースにに関してはかなりオープンな方だと思うのだが、とても繊細なイシューではあるので、親しくない人に話したくないこともあるだろうし、そもそも彼女はニューロダイバースではないかもしれないし、ここら辺の距離感って、日本に限らず難しいなあと思う。

担任にメール

大丈夫とは思うが、お返事如何によっては直接お話をしに行こう、という前提で、メールを送ってみた。
気をつけたのは、感謝をしっかり述べるようにしたこと。担任に不満があるわけでは全然ないからだ。

本人は学校が大好きであること。ただ、得意分野をより伸ばすためと、何が彼に合うのかを模索したいため、とりあえず1期、チャレンジさせてみたいこと。いつも対応には心から感謝していることを、書いた。

実際、担任の先生は、学年はじめの面談でお願いした通り、授業のそこここで、長男に特別な課題を用意してやらせてくれているのだ。
みんなが「100まで数えよう」とか「1桁同士の足し算だよ」とかやっている間に、1000までの足し算とか、簡単な分数なんかの問題を出してくれているそう。
(チャレンジ問題も割と簡単だとは本人が言っていたが)

担任からは程なく返信があり
「それは素敵な考えだと思う。20人以上をひとりで担任する中では、自分にできることには限りがあるので、才能を伸ばすチャンスがあって本当によかった!楽しんでください。」
というような内容であったので、ホッとした。

本当に、前から言っているが、深い理解や積極的なサポートがなくとも、おおらかな受け取り方と、柔軟さがあるだけで、どれだけ救われるか!!
先生にとっても、柔軟であるために、時間やお金のかかる講習や勉強は必要ない。まずは保護者が自分で探してきた解決策を、無理のない範囲で受け止めてくれるだけで、子ども時代の快適さは変化するはずだ。また、校長をはじめとした学校組織が、各先生の柔軟さをポジティブに受け止め、後押ししてくれる文化を作ることも大切だと思う。

学校事務に連絡

さて、システムも分かったし、担任の許可もとったし、あとは書類提出のみだな!と思い、学校のオフィスにあててメールをした。これから毎週木曜日はお休みするため届出をしたいので、申込用紙が欲しい旨を伝えた。
すると、予想外の返事が。
「それでは校長に連絡をしてください。」

え?書類提出するだけじゃないの???
ちょっとドキドキしながら、今度は校長にメール。

担任に出したものと同じような内容で、長男がニューロダイバースであることも簡単に書いた。
なんとなく、「ギフテッド」という言葉を使わない方が、相手の反感を感じないような気がするので、その言葉は避け、2E疑いとだけ書いておいた。
なんと呼ぼうと多くの人は気にしないような気もするが、こういうことは念には念を入れるに越したことはない。

するとこちらも程なくして
「面談をしましょう。教頭(SENCO兼任)も同席します。」
との返信。
この面談がネガティブなものなのかポジティブなものなのか分からず、一瞬怯えたものの、校風からして意地悪(?)されることはないだろうと思いつつ、翌日に面談を設定した。

副校長=SENCO について

SENCOとはSpecial Educational Needs Coordinatorの略。つまり、学習に関して特別な配慮がいるケースのコーディネートをする役割を担っている。
これは多くの場合、障害児や発達障害児など凹部分のサポートのためと思われがちだが、欧米など、ギフテッド教育が進んでいる国では、ギフテッド含め凸部分もまた、スペシャルニーズと捉えてサポートが義務付けられているのだ。

また、この副校長は今年から赴任した新しい先生だったのだが、話してみると一瞬でこちらの言いたいことを理解してくれた様子で、今までに自分が関わってきた2Eやギフテッド児のこと、そのうちの数人は社会人となった今でも連絡をとっていることなどを、楽しそうに話してくれた。

早い時点でギフテッド教育を行なってきた国の良い点は、このように、関わる人たちの経験が積み上がってきていることだ。また、サポートを経て成人となったギフテッドや2Eの当事者が存在することで、当事者目線での感想を伝えられることだと思う。

そして面談

校長(と言っても正確には校長代理。通常の肩書きは副校長。本来の校長は長期休暇取得中で、今期まるっとお休みになっているので、その間、校長代理をされている)と、その隣に副校長。
副校長がSENCOを兼任しているので、SENCOとの面談でもある。

とりあえず、民間塾に通わせることになった理由を、聞かれるがままに話した。
学校ではマスキングしているので担任は気づいていないが、アフタースクールメルトダウンがあるので、環境の調整をしたいと思っていること。学校に不満はないこと。など。

SENCOとして長年の経験を持つ副校長はすぐに理解してくれて、分かりましたと言ってくれた上で、もしも必要であれば学校側でもResource teacherというサポートをつけられますよと提案してくれた。

Resourse Teacherとは?

私もよく知らないのだけれど、Resourse Teacher of Learning and Behaviorというものがあるらしい。
政府主導でオーガナイズされている団体らしく、学校がここに所属し一定額のお金を払っていると、専門的な知識のあるアシスタントティーチャーを派遣してくれるようだ。

対象となるのは学習や振る舞いに困難のある児童たち。
知的障害のみでなく、発達障害、学習障害など、あらゆる困難に対応してくれ、ギフテッドなど、学校の授業よりも深かったり複雑だったりする学習を必要とする場合も対応しますと言ってくれた。

是非ともお願いしてみたかったのだけれども、まずは申請してからアセスメント(担当者が実際に授業などを見学に来て、どんなサポートが必要か見定めるらしい)まで数週間、その後担当のアシスタントティーチャーが実際に派遣されるまでに数週間と、実際につくまでに10週間くらいかかるとのことであった。
8月に帰国を考えている私たち。
ギフテッド児に個人的サポートつけてくれるなんて、一体どんなことしてくるんだろう?と、私自身が興味津々だったけれども、そんなお手数をかけた後に、すぐに学校を去るなんて、申し訳なさすぎて諦めた。

でも、こういうシステムがあるということを知るのは、とても大切。
これから日本に戻り、日本の学校とニュージーランドの学校のどちらが子どもに合っているのか、考える参考になるのだ。

最後に言われた言葉

というわけで基本的に、

「何か問題がありますか?学校としてサポートして欲しいことはありますか?」
「担任の先生はできる限り協力してくれて感謝しています。この人数の枠の中でできることは限られているのは理解している上で、他の選択肢をあたってみたいです。」


という意思疎通ができたことで、面談は無事に終了。
さて、ではこれでお開きか、となった時に、最後の校長(代理)が口を開いた。

忙しくさせないで

「子どもを忙しくさせすぎないでくださいね。」

「?」となる私たち夫婦。
「どういう意味でしょう?」
と尋ねる夫に、校長(代理)は答えた。

「そちらの塾は、もちろん、素晴らしいこともたくさんしてくれるのだとは思うけれど、所詮は彼らはビジネスであるということを忘れないでください。成績を上げさせるために、コンピューターを使って、はい次はい次、というようにどんどんと課題を出し、やらせていくでしょう。でも子供にとっては学びというのはそういうことではない、という場合もあります。」

なるほど。と思った。
この大らかさは、ニュージーランドの小学校教育の根幹にあるものだし、私もとても気に入っているポリシーだ。
とにかく小学生までは宿題もなし、テストもなし。楽しんでいない時の学びは身につかないから、とにかく安心安全と感じられる環境で楽しむことを最重要に、との考えだ。
巷でよく言われる、日本の詰め込み型の教育に対する批判も、基本はこれだろう。

ただ、今の長男は、この「はい次!はい次!」を楽しんでいるし、まさに欲していたものでもあった。
小学校時代の学びに対して「ゼロ プレッシャー」を宣言するニュージーランドの教育には、私も完全に同意するのだが、だからといって「チャレンジさせない」はまた違うことだと思うのだ。
定型児の中でも、適正なレベル設定と見守りがあれば、次々とテンポ良く出される課題を心から楽しみながら学ぶ子は多いと思う。脳への刺激を求め続けるニューロダイバース児であるなら尚更だ。

よく考えたら、校長(代理←しつこい)はマッチョな男性。
おそらく、女性スタッフの多いこの学校内ではスポーツ担当と思われ、外で子供たちと走り回っているのをよく見かける。
彼にとっての「チャレンジ」のイメージと、長男が今欲している「チャレンジ」は、もしかして少し種類が違うのかもしれないな、と思った。

同席していたSENCOの先生がその場を上手に収めてくれたので、もちろんにこやかに終了したのだけれども、単に「学校側」と言っても「誰と話すか」はすごく重要だな、と、改めて感じた発言であった。

とはいえ、どちらの先生も基本姿勢は
「学校としてサポートできることがあれば、教えてほしい」
というものだったのは、本当に心からありがたい!!

残る疑問

というわけで、スッキリ!よかった!と思った面談だったのだが、一つだけ残る疑問が。

この面談、なぜ昨年に行われなかったのか…。

入学してすぐに、担任にニューロダイバースであることを伝え、担任はクラス内で出来うる限りのサポートをしてくれた。
その後も、MInd Plus(ギフテッド児のための週1ワンデイスクール)の申し込みのために、担任と校長に個別にメールし、書類にサインをもらっている。
今年に入ってからは担任が変わり、新しい担任とも面談をし、再びニューロダイバースについて伝えた(申し送りはなかったそうで、少し驚いたが、マスキングにより問題行動があるわけではないので、まあそんなものかなと思った)。
今年に入ってから、Mind Plusがキャンセルになったため、校長にも再度連絡して学校主催のGATE(Gifted And Talented Education)についても問い合わせた。(新しい副校長が担当になる予定なので待つように言われた)

その間、一度も校長と面談という話にはならなかったし、SENCOの存在も知らされなかったのだ。

やはり、マスキングゆえに、問題なしと思われていたのが、週1で外部に通うとなって初めて「そんなに困ってたの???」ってなったのかなあ、と思った。
確かに、致し方ない感はある。

が、これだけすごいスピードで増えてきている(発見され続けている?)ニューロダイバース児について。
教育の現場に専門家がいないがために、親が専門家となり教育現場に自ら働きかけなければいけない現状、というのは、まだまだニュージーランドにもたくさんあるな、というのが現実だ。

私自身はもともと教育や発達に興味があったし、夫は120%協力的だし、リサーチも好きなので、ここまでやってこれた。
でも、ただ単に困っている!でもどうしたら?で終わっている家庭も、星の数ほどあるだろう。
やはりこれは、国や地方など、行政レベルでどんどんスピード上げて取り組むべき課題だよな、と、改めて思った。

あと、ギフテッド児の保護者は、モンペと思われるのを恐れず、笑顔でさりげなく、しかしガンガンと、ドアを叩き続けるしかないな、とも。
修行…。

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あと数ヶ月で帰国なので、ネット申し込まないといけないんだけどどれが良いのか迷う…
前回出国時に解約でお金払って悔しー!ってなったので、できれば契約年数縛りないのが良いけど割高なのかな。NZにはこんなにチョイスないから、決められない予感しかない…。

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