息子を紹介する絵本を作ってみた!『ぼくのなまえはルーミー:ニューロダイバースなぼくのはなし』

発達凸凹
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息子がどんな子か、どういう時に困って、どんな気持ちなのか、頭の中ではどんな風になっていて、どういう行動に出てしまうのか。
親の私たちが時間をかけて発見し、理解してきたことを、本人や周囲の人に知ってもらいたくて絵本を作成してみた。
『ぼくのなまえはルーミー:ニューロダイバースなぼくのはなし』
自分の手元に1冊あれば良いかなと思っていたのだが、出来てみたら結構良い感じだったので、本人にも相談して、Amazonで販売できるように登録してみたお話。

息子のニューロダイバーシティに気づいた時のお話は、ぜひ「うちの子ギフテッド?:思った理由と思わなかった理由」を読んでいただきたい。


ぼくのなまえはルーミー : ニューロダイバースなぼくのはなし

絵本を作ろうと思ったきっかけ

きっかけは初めてのプレイデートだった。
これまで、親が一緒にお邪魔するプレイデートは何度もしてきたが、生まれて初めて、本人のみでお友達のお宅に遊びに行かせることがあった。
お友達T君の親御さんとは送迎時に何度も会っているが、実際にゆっくりと座ってお話ししたことはなかった。もちろんご自宅に伺うのも初めて。でも、とても気さくで頭の良い、素敵なお母さんだ。
不安はあったけれども、ぜひ遊びに来てと言われて、長男も喜びに瞳を輝かせていたので、良い子にしておくように、よくよく言い含めて昼過ぎに遊びに行かせた。

(親が)不安な午後を過ごしてから、夕方のお迎え時。
おうちに1歩入った途端、興奮して走り回る長男とT君の姿…。
「ちょっとちょっとちょっと!」と呼びかけると、T君のお姉ちゃん(8歳)が、ここにいるよと言って連れていってくれたのがなんと!向こうのご両親のベッドルームにあるウオークインクローゼットの中!しかも、置いてある棚の上に登っている…。
真っ青になる私…。
救いだったのは(?)、T君が先導してその状態になっていたことだろうか。
(これが息子一人でやらかしていたら、恥ずかしくてもう遊びに行けなかった…)
慌てて引きずり降ろすも、すぐさまT君と二人で奇声を上げながら走り去っていった…。

リビングでお友達ママと話していた夫のところにささっと行き、小声で(そして日本語で)現状を伝える。さっと顔色を変えた夫と目が会った途端、お互いに「やはり」と同意したのが分かった。
長男のニューロダイバーシティについて、T君ママに伝えるかどうか、迷っていたのだ。

基本的に学校ではマスキングをしている長男。
学校で特に問題行動はないし、送迎時に学校の校庭で遊ぶ様子を見ているだけでは、おそらく特性には誰も気づいていないと思う。
不必要にカミングアウトして偏見をもたれるのも本人が可哀想だし、言わずに済むならと思っていたが、お家にお邪魔してみた様子で「躾の出来ていない乱暴な子」と思われるのはもっと辛いなと思っていた。
なので、この過興奮状態を見た時に、夫婦で心を決めた
私の場合、英語でも言いたいことは言うことは出来るけれども、センシティブな内容を程よいニュアンスでふわりと伝えるのは難しい。なのでここは夫の出番。
「騒がしくてごめんなさい。実は長男君、ニューロダイバースで、今日は楽しすぎてちょっと興奮しちゃっているみたい。預ける前に伝えるかどうか迷ったんだけど、普段はもう少しお行儀よく出来てるから、今日も大丈夫かなと思って…。」
という感じで、軽ーく伝えてみた。するとさすが、頭の良い彼女は一瞬で察したようで
OK!ニューロダイバースなのね。最近はほんとによく知られるようになってきて、よかったわよね。私の妹もディスレクシアなのよ。それから、私の職場にもASDの人がいて、時々コミュニケーションが行き違ってすごく面白いことが起きちゃうけど、仕事はすごくよく出来る人だから、周りの人が、彼に仕事をお願いする時はこういうことに気をつけてね!ってルールを作ってるのよ。面白いでしょう?あはは!」
と、驚くほど明るく受け止めてくれた。さすがニュージーランド!(彼女はイギリス人だけど)

というわけで、無事にプレイデートは終了したのだけれど、帰宅してからなんかもやもや…。
いや、だいたいの状況を理解してくれたのは嬉しいけど、「ニューロダイバースで」としか言ってないから、ただの困ったちゃんと思われていないかな。これから仲良くしていくなら、息子の色々な面や、困った時の対処の方法も、できれば知ってほしいな…。
と、欲が出てきてしまったのだ。

そこで、友人のギフママであるY (高1のギフテッド男児のママ。息子君は2年飛び級にて大学受験予定。この記事に出てくるエスパーママです。)に相談してみたところ「絵本を作ってみたら?」と勧められたのだ。
長男君はこういう子ですよっていうことが、他の親だけでなく、こどもでも分かる絵本。ふむふむなるほど。

長男についての絵本を作るっていうアイデアを初めて持ったのは、この時だった。

絵本作らねば!と思った出来事

絵本作るのいいなあ〜とぼんやりと考えていた私だったが、奮起するような出来事がもう一つあった。2歳年下の次男の発言だ。

家の外では割とシャイで、他人を攻撃するようなことはない長男だが、昔から次男だけにはあたりが相当強い。
発達凸凹君にはよくあることかもしれないが、次男が産まれた時の嫉妬ときたらすごかった
下の子への嫉妬は早ければ数ヶ月、長い子でも半年くらいで収まりますよ、と聞いていたのに、我が家では落ち着くまでに3年以上かかった。とりわけ、ママの取り合いがすごくて、取りあわれるママも、存在を否定されるパパにも辛い日々…。

それはさておき。未だに弟にはキツく当たりがちが長男。集中してレゴをやってる時に「それかっこいいね」と次男が言うだけでも「うるさいうるさいうるさい!」と、背中をグーで叩く。
幼い頃は「なんで?なんで?ぼくはお兄ちゃんのこと好きなのに〜」とピーピー泣いてた(切ない…)次男だが、3歳になった頃から少しずつやり返すようになり、4歳を迎えた今、叩かれたり怒鳴られたりしたら黙って離れるという、大人な対応まで身につけてきた。

そんな次男が先日、とうとう言ったのだ。
お兄ちゃんは、すぐに僕のこと叩くよね。叩かないようにまだ練習中なの?ぼくはもう練習が終わったから叩かないよ。お兄ちゃんの方が大きいのに、どうしてお兄ちゃんはまだ練習中なの?

長男に発達の問題があると気づき始めた頃から、次男のカサンドラを心配してきた私たち夫婦だけれど、これを聞いた時にはショックを受けた。

そしてまた、例のギフママY に相談してみた。そしてヨーコは言った。
「とうとうこの日が来てしまったか…。」

ですよね。
来るべき時が来たという感じ。
次男も、とうとう気づいてしまったか…。

というわけで、改めて、絵本作成を勧められた。
4歳になったばかりの次男でも、お兄ちゃんのことが理解できるように。

そういえば絵本作るの夢だったんだ

そういえば、絵本を作るっていうのは私の昔からの夢だった。
ということを、思い出した。
何を隠そう、新卒で絵本の出版社に就職していたくらい、絵本好きなのだった。
(その後、私は出版社に入りたかったのではなく絵本作家になりたかったのだと気づき、退職したけども。気づくの遅かった…。)

その後、別なやりたい事を見つけてしまい、絵本の夢からは離れていたけれども、我が子が出来たらオリジナル絵本を作ってあげようと思っていたのだった。
こんなにも育てづらい子でなければ、もっと早くにその時間も作れただろうと思う…。

そして出来上がった絵本とその癒し効果

作ると決めてからは3日間くらいで一気に描き上げた。
面白かったのは、作る過程が私にとって大きな癒しだったこと。
いろんな場面を絵や文字にしてみる事で、育児でのもやもやや怒りが、ふわりと解けて、コミカルな映画を見ているみたいな気持ちになってきた。
また、本人の世界観を表したいなと脳内シュミレーションしてみたら、息子の見ているであろう世界が突然、生き生きと目の前に広がってきた。
そうか!彼が生きているのはこんな世界かもしれない!
親の私の方が、ぴっかーん!と開けた瞬間でもあった。
(あくまでも推測だけど)
最近になってやっと、自分をコントロールする方法を理解し始めた本人の発言も、絵本制作に役立っている。例えば「楽しすぎてふざけるのがやめられなくなったら、算数のクイズ出してね」などは、本人が教えてくれたことだ。
もちろん、違う人間、違う脳、息子の世界を完全に体験する事はできないけれども、彼の世界に一歩近づけたような気持ちである。

出来上がったデータは、jpeg画像に落とし、ネットで見つけたフォトブックの制作サイトにてフォトブックとして印刷注文した。
残念ながらニュージーランドには、あまり評判の良いサイトがなかったのだが、とりあえず値段が比較的お手頃だったSnapfishというサイトにて注文した。
現在は商品到着待ちなので、出来上がったらまた紹介させていただく予定✨

本人に見せた時の感想

下書きの時点で、本人に読み聞かせてみた。
黒い線でざっくりと描いただけの粗いものだったけれど、本人はニコニコしたり、時に恥ずかしそうに、私の腕をしっかりと掴んで見入っていた。

読み終えた後に
「どう?ママは君がこんな風に感じているかな、って想像して作ってみたんだけど、合ってる?違うところとか、変えて欲しいところとか、あったら教えてくれない?
と聞いてみたら
大丈夫だよ。ぼく、こんな風になってるんだよ。ママ上手にできたね。」

涙。

そうだ!Amazonで販売してみよう!

出来上がりが思った以上に良い感じだったので、(調子に乗って)もっと誰かに読んでもらいたいなと思った。
そこで思いついたのがKindle Direct Publishingというものだ。
アプリを使って手元で書籍用データに変換し、Amazonサイトにアップして完了という、至ってお手軽な電子書籍出版方法だ。
(出版とか呼ぶのもおこがましい程のお手軽さ…)
これなら出来る!と思い、サクサクと登録完了。
リサーチ入れても2日間くらいで登録まで完了したので、もしも手元で眠っている原稿がある人がいれば、おすすめです!
設定することで KIndle Unlimitedのリストに入れることができるので、周囲の人にも紹介しやすいし!
(というか、今まで自分がKUを使っていて、多くの素晴らしい本が読み放題になる一方、大量に出てくるビミョ〜なレベルの電子書籍もありこれは一体???と思っていた謎が解けた瞬間…)

販売にあたって気になったのは本人の気持ちだったので、率直に尋ねてみた。

「長男君のおかげですごく可愛い絵本ができたから、みんなに見てもらえるようにインターネットにアップしようと思うんだけど、どう思う? ママは長男君のことや、長男君みたいな他の子どもたちのことを、いろんな人に知って欲しいから、アップしたいなと思っているけど、もしも長男君に、嫌な気持ちや恥ずかしい気持ちがあったらやめるよ。」と聞いたところ、
「いいよ。僕、みんなに知ってもらいたいよ。僕、頑張ってるから恥ずかしくないよ。」
とのことであった。
(如何せん6歳児なので、どれくらい理解しているか不明だけれども)

レビューやご紹介のお願い

というわけで、出来上がった電子書籍がこちら。
Twitterで紹介させてもらったところ、既にレビューを書いてくださった方もいて大感激。
日本ではまだまだギフティッド、発達凸凹、発達障害、ニューロダイバーシティなど、概念も実態も、きちんと知られていないのが現状。
この絵本はあくまでもうちの息子の個人的な話であって、子供の数だけ性格も特性もある。
全然違うよー!という方の方がむしろ多いとは思うけれども、それも含めて「色んな脳があるんだね」と考える一助になれば幸いである。


ぼくのなまえはルーミー : ニューロダイバースなぼくのはなし


レビューが多いほど、目に留まる確率も多いようなので、良いなと思われましたらレビューを書いていただけると、とても嬉しいです。
また、似たようなお子さんを持ち、育てづらさに困っている保護者様や、学校・幼稚園・保育園の先生などに、ご紹介いただけますと
ますます嬉しいです。

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