感覚刺激のダイエット(Sensory Diet)

発達凸凹
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ロックダウン中は療育が止まっていたのだが、ロックダウンが明けて再開された。
と同時に、OTさんからセンサリーダイエットの原案が送られてきた。
センサリーダイエットとは、感覚過敏や感覚処理障害を持っている人のために、日常の感覚刺激を調整していこうというものだ。
苦手な刺激は減らし、不足している刺激を増やしていくことで、安定した精神を作っていくためのプラン。

これはとりあえず原案なので、試しながら調整をしていきましょうとのことだった。
なかなか興味深いので、しっかり翻訳してメモ。
以下、送られてきた提案書をざっくりと訳してみたよ。
(ダラダラと続きます)

よく二人で狭ーい場所で遊んでいる

全体の方向性

長男のセンサリープロファイル(アセスメントの結果として作成された感覚のプロフィール)によると;
・音と匂いに敏感で、その疲労が社会性や感情面での行動に出てしまっている。
・触覚、運動、口への刺激を与えることで、自分の精神を保っている様子が見られる。


これらの刺激を処理する方法が定型と違うことで、自分の感情をコントロールすることを難しくしている可能性がある。

つまり、
1)過敏傾向にある音と匂いを抑える、もしくは好きなものに置き換える、
2)探求傾向のある運動刺激、口の感覚を意図的に増やす
ことによって、気持ちを穏やかに保てるかな、ということですね。

感覚運動アクティビティとは(Sensory motor activity schedule)

感覚運動アクティビティのコンセプトは、栄養における通常のダイエットと似ている。
食べ物の代わりに刺激を、1日を通して必要な量だけ与えるのだ。
刺激に対するニーズを満たすことで、より適切な振る舞い(一定の時間椅子に座り続けたり、静かに指示に耳を傾ける等)が出来るようになる。
また、これらのアクティビティは、運動機能にも影響を与えるようにデザインされている。

固有覚を通して得られる刺激によって、セラトニン(良い気持ちになる)とドーパミン(モチベーションと喜びに繋がる)のレベルが上がる。ドーパミンにより、運動刺激が満たされる。

感覚、脳内物質、感情のレベルはお互い密接に関連している。つまり、このうちのどれかが変化すると他の二つも影響を受けるということだ。
例えば、仕事のストレスを受けジョギング(センサリーインプット)をすると、脳内物質が変化(セロトニンやエンドルフィンが分泌)し、気持ちが落ち着いてより幸福な気持ちになる。

アクティビティは毎日繰り返されるのが理想なので、日々のルーティーンに組み込まれるのが理想だ。

1日の流れ

起床時
以下に挙げるような、固有もしくは前庭運動を10分間。
・動物ハイハイごっこ(熊、蟹、ワシ、蛙など)
・ヨガボールの上でバウンス、もしくは壁に投げてキャッチ
・屋内障害物競争(クッションの上をハイハイ、テーブルの下、マットをジャンプで横断)
・トランポリン

朝食時
・硬いものやかみごたえのある食べ物や、ねっとりとした飲み物(スムージー等)をストローで与える。探求のある「口から入る固有感覚への刺激」を与える。
・椅子の足にセラピーバンドを着ける
・振動歯ブラシを使用する

登校時(車内)
・センサリートイボックス(ミニブロック、ねじまきおもちゃ、伸びる人形等手でいじれるもの)を用意しておく
・重いバッグを運ばせる(固有感覚への刺激)
・好きな香りのついた小さな布(エッセンシャルオイル等)

学校にて(朝と午後)
・センサリートイ等を持たせ、手に持って集中するためのものだとはっきり伝える
・力仕事や重量感のある遊び(本を運ぶ、椅子を動かす、黒板を拭く、壁を押す、椅子を使う腕立て伏せ等)
・座る場所を決めてあげる。(マットタイムのためのゆらゆらするクッションや、椅子の足にセラピーバンドをつける等を検討)
本人をよく観察し、集中できなくなっている様子なら体を動かす休憩時間を挟む。

下校時(車内)
・硬いものや、噛みごたえのあるスナック、落ち着く音楽、好ましい匂いのついた布等を与える

帰宅時
・静かな時間(ビーンバッグに座ってお話を聞く等)
・前庭刺激アクティビティ;
(トランポリン、ブランコ、ヨガボールやビーンバッグの上にうつ伏せになり腕に体重がかかっている状態でゲームやパズルを行う、スクーターボードにお腹・膝・お尻を乗せて行うゲーム、ヨガボールに乗ってバウンス、ブランケットをかぶって鬼ごっこ等)
・固有感覚を刺激するアクテビティ;
(穴を掘る、熊手を使って葉っぱを集める、窓を拭く、自転車に乗る等)

もしも本人がひどく興奮・覚醒している、もしくは興奮状態になりつつある様子であれば、直線運動(ブランコや、スクーターボードに乗って前後運動をする等)、深い圧力(肩などを深く押す、ビーンバッグやヨガボールでぎゅうっと挟む等)によって、素早く落ち着いた気持ちになるのを助けてくれる。

夕食前
・夕食前のキッチンの活動を2種類から選ばせる。(レシピを読む、もしくは食べ物の下拵えを手伝うことで、食べ物に対する感覚過敏を助ける)

よく観察しながら積極的にーもしも集中が途切れたり、エネルギーが余っている様子であれば、動物歩きをしたり、重いものを運ばせたり、体を使うアクティビティに誘いましょう

夕食時
・何度も噛めるものや硬いものなど、歯応えのある食べ物を出す。飲み物をストローで飲む。
・椅子にセラピーバンドを装着しておく。

就寝前
・寝る1時間前にはテレビやビデオを見ないようにする。
・寝る1時間前には体を使いすぎる遊びをしないようにする。
・電気歯ブラシの利用
・体の上でヨガボールを転がしたり、ビーンバッグでぎゅっと挟んだりして、落ち着かせる。
・お風呂/シャワーにミネラル塩を使う、ベッドルームでラヴェンダーの香りを使う
・ベッドタイムだと分かるように部屋の照明を落とす
・原始反射統合エクササイズを行う
・ストーリータイム(絵本を読む等)

備考

それぞれのアクティビティについての詳しい説明。(長い!)

ディーププレッシャータッチ:
マッサージのように、皮膚に対して強い圧をかけるタッチのこと。ヨガボールを体の上に置いてぎゅうっと押しつけたり、固い床の上で転がる等。

前庭感覚(vestibular):
スイング、前後の揺れ、ジャンプ、くるくる回るなど、特定の体位や頭部の位置で行うと、特にパワフルな動きとなる。素早く体の位置を動かす運動に対して、リズミック運動は気持ちを落ち着かせてくれる。うつ伏せで前後に揺れる運動は、落ち着かせるのを力強く助けてくれる。前庭感覚のインプットによる影響は長く残りやすいので、よく気をつけて観察、検討する必要がある。

固有感覚(proprioception)
固有感覚とは関節や筋肉からの刺激を感じる器官だ。関節からは、体の動き、位置、関節や筋肉にかかる力など多くの情報が送られてくる。関節や筋肉に負荷をかけるアクティビティなら何でも良い。

重筋肉活動?(heavy muscle action)
前庭感覚運動のひとつで、抵抗に対して筋肉が働く運動を指す。全身運動、手の運動、口の運動を含む。

口腔運動刺激(oral motor action)
口腔に対する運動刺激、呼吸、吸引、息を吐く、噛みつく、くちゃくちゃ噛む、深呼吸するなどのアクティビティ。これにより、落ち着き、自分らしくいることを助ける。

聴覚刺激(auditory input)
音楽やBGMは、気分を落ち着かせるのに有効だ。とりわけ、特別にプログラムされた音源を聴くことで、音の刺激からの防御反応として出る振る舞いを、和らげる効果が期待される。

程よい温度:
暑くも寒くもない気温になるよう、環境を調整する。多くの人にとって、これは落ち着く大きな要因となる。


嗅覚刺激(Olfactory input):
アロマセラピーなどを利用して、好ましい香りを取り入れることで、気持ちを落ち着かせるのを助ける。

味覚刺激(taste input):
甘い、酸っぱい、苦い、そのほかの味を使って、気持ちを落ち着かせる。

固有感覚を刺激するアクティビティ:
・レスリング、戦いごっこ
・鬼ごっこ
・動物歩き
・枕投げ
・ブランケットで包んで床を引っ張るゲーム
・トランポリン
・ヨガボール
・ヨガボールに座ってバウンス
・ヨガボールの上に腹這いでのり、その姿勢でゲームやパズルなどをする
・ボールの上に乗って脱力、リラックスする
・ボールの上に寝て、足と腕の間を転がして前後する
・床に寝転がって、パパやママがその上に優しく乗っかる遊び
・仰向けに寝た状態で投げられたボールをキックする
・腹這いになり、両手でボールを押す(肘は床から浮かせて腕と平行)

感想、そして実践していること

これまで、嫌がる刺激を避けたり減らしたり、という考えはあったものの、好きな刺激を増やす、と考えたことがなかったので、新鮮だった!
確かに、学校では相当欲求をホールドしている様子なので、放課後は必ず校庭で走らせたりして発散させてから帰るようにしていたけれど、朝起きてすぐに体を動かしてスッキリさせるとかは、盲点であった。

トランポリン
庭に大きなトランポリンを設置することに決めたけれど、丈夫で安全そうなのは10万近い(!)ので、夫と検討中。休暇中に集まる小さな従兄弟達のことを考えると、みんなで使えるなら高くはないか。
でも、悪天候の時こそ体を動かしたいので、ガレージ用に小さいトランポリンも入れてみようかな。

ビーンバッグ
うつ伏せに寝ている上にビーンバッグを乗せて、私が上に乗ってぎゅーっと抱きしめるのは、「落ち着く〜」と喜んでいる。ディーププレッシャー、良いみたい。

センサリー・トイ
それから、車の中にセンサリートイを置こうと思って、こちらを購入。
私が購入したものはたっぷり50ピースのセットなので、壊しても失くしてもどんと来い!の気持ち。
アメリカのamazonから到着待ち。
学校の送迎時に、刺激が足りなかったり、刺激で疲れていたりすると、車内で前の座席を足で蹴ったり、弟にちょっかい出して喧嘩になったり、つまらないことで大きな声を出したりするので、にぎにぎするものや、脳への刺激になるものが置いてあると違うかな、と。

アロマスプレー
車の匂いが大嫌いで、ほんの5分の移動でも必ずマスクを着ける(しかも不織布の匂いも嫌なので布マスク)長男。好きな香りがあるとリラックスできるかなと、香り探し中。
お買い物嫌い(おそらく色と光が激しいのでお店が嫌い&車酔い激しいので必要以上に車に乗りたくない)の長男を店舗まで連れて行くこと自体が難しく、私が独断で、子どもの好きそうなsweet orangeという香りのエッセンシャルオイルを購入。
とりあえずお風呂に数滴垂らして入る分には気に入っている様子。
これをスプレーにしようと思ったのだけれど、なんとNZではエタノールが入手しにくく(店舗では扱っておらず、ネットで買うと高濃度アルコールのため配送料が高額)なので、代替品としてウオッカを使うか悩み中…。
アロマは私も好きなので、生活に取り入れて、息子の癒しになってくれると良いなと期待!
(しかし嫌いな匂いもすごく多いので慎重に…)

学校での様子
担任と面談の折に尋ねてみると、本当にびっくりするほど、学校では全ての特性を隠している様子!
貧乏ゆすりも、鉛筆かじるも、何もないとのこと。別人のよう…。
というわけで、とりあえずOTさんは学校でのアドバイスもくれたけれど、こちらはしばらく寝かせることに決定。

など。
できるところから少しずつやっているところ。
変化などあればまた書くつもりです!

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