国の関わるNPOによるギフテッドプログラム Mind Plus に申し込み、かなり期待していたのだけれど、まさかの「参加人数不足により今学期は開催見合わせ」となってしまい、がっくりきていた。
何か他にないかと学校に問い合わせたら、学校主催のGATEプログラムが存在するとのこと(早く教えてほしかった!)で、担当となる先生と話をしたいと伝えると、今年から赴任となる新しい副校長が担当だと教えてくれたので、その話でござる。
GATEプログラムとは
GATEとはGifted and Talented Educationの略で、ニュージーランドの多くの学校では、GATEプログラムが取り入れられている。内容は学校による様だけれど、それぞれの特性に合わせて、得意分野を深めるための学びを提供している印象だ。
息子が通う学校のホームページにも記されていたのだが、更新されている様子がないこと、スクールからのニュースレター等で言及されているのを見たことがない、発達相談をしている医師やOTからの言及もなかった、2Eだと担任に伝えたけれども特に紹介されなかった、等々の理由で、なんとなく活発に運営されていると思えず、医師に勧められたMind Plusの方にのみ申し込んでいた。
しかし、MInd Plusが開催されないことになり、GATEについて、改めて校長にメールで問い合わせてみた。
副校長は2E保護者だった
校長からは迅速に連絡をもらい、GATEが存在するとのこと。担当者は新任の副校長になるとのことで、連絡先を教えてくれた。
早速、この副校長に連絡し、やりとりが始まった。
- 最終的な診断は受けていないが、ギフテッドもしくは2Eだろうと言われていること。
- Mind Plusに申し込んだけれども非開催となったこと。
- 学校ではマスキングしているが、ストレスを溜めて帰宅しているようで、家では多動等の特性が出ていること。
- 本人が学校生活をリラックスしてハッピーに過ごすため、また家庭でも穏やかに気持ちよく過ごせるようにするため、なんらかのプログラム、もしくは相談できる人を探していること。
- 息子と似たような子供が他にも学内にいるならば、息子と気が合うかもしれないので是非会わせてみたいこと。また、当事者や家族ぐるみで、悩みや対処法をシェアできる仲間を探していること。
などを書いて送った。
ギフテッドに理解がある人、願わくは、ギフテッドと関わった経験のある人だと良いなという願いを込めて(夫が)書いた。
そして返信がきて、読んでみて驚いた。
- 彼女自身が、2Eの二人の子供の母親であること。
- なので当然、2Eという言葉はよく知っているし、自身でも強い興味を持っていること。
- これまでもGATEプログラムに関わってきた専門家であること。
- しかし、今年から新しく赴任となるため、この学校におけるGATEの内容や規模などはまだ分かっていないこと。
- 新学期が始まって、内情が分かってきたら改めて連絡をするので、その時点で面談をしたいと思うがそれで良いか。
と書かれていたからだ。
息子の学校はNZにしてはかなり規模が大きく、全校生徒が700人近くいる。
(人口の少ないNZにおいてはマンモス規模だ)
昨年の担任も素晴らしい人だったし、校長もスタッフも皆明るくて親切、素敵な学校だと思っているのだが、専門のスクールカウンセラーがいない。
というか、私たちの住む街はとても小さい街なので、子供専門のカウンセラー・心理士という人を、公的機関でも、民間クリニック等でも、見たことがないのだ。
子どものメンタルケアは、一般小児科医、もしくはOTが担っている印象だ。
(私のリサーチ不足かもしれないが、ネットで検索したり、あちこちに問い合わせてみたが見つからなkった)
そんな中、Mind Plusのことを知ったのだが、私たち夫婦がこのプログラムに最も期待していたのは、才能教育ではなく、「ギフテッドとしての自分の特性を理解し、これから上手に付き合っていくための方法を考え、学んでいく」という部分だった。
ギフテッドの特性をよく知る講師がついてくれて、OEをはじめとする発達凸凹部分との付き合い方を練習する時間を、毎週設けてくれるのだそうだ。
自分の感情の激しさを持て余している息子にとって、私たち夫婦が求めているのは、そういう部分だった。
なので、その手段がなくなり、かなりがっかりしていた。
GATEプログラムのことを聞き、得意分野を深める時間をとれるのは素晴らしいと思いつつも、精神性・社会性についてのサポートはどれくらい受けられるのだろうかと、疑問視していた。
だが、担当者が2E当事者の保護者と聞いて、もやがぱあっと開けたような気持ちになった。
2Eの子どもがふたりなんて、おそらく彼女も相当大変な思いをしてきているはずだ。
もうそれだけで、(彼女の苦労に対して敬意を払いつつ)どれだけのことを理解してもらえるか、考えただけで泣きそう…。
実際に、学校のGATEプログラムに入れてもらえるのか、どんな内容なのか、まだ未知だけれども、少なくとも、私たちと同じ言語(?)を話す人が学校側にいるということは、強く大きな希望だ!
学校教育に関わる人々
今回、2E当事者の保護者が学校側にひとりいるというだけで、こんなにも心強く感じている自分に、正直、我ながら驚いた。
(まだ何も始まっていないのに)
ギフテッドという概念はもとより、2E、そもそも発達障害でさえも、まだまだ新しい概念であり、深い知識と豊富な経験をもつ教育者が、現場で全く足りていないのが現状だと思う。
今回しみじみと思ったのだが、我が子がニューロダイバースな保護者で、少しでも余裕のある人は、どんどんと教育業界に関わると良いのでは、ということだ。
もう既に、ニューロダイバースなお子さんの育児をしているご両親が、より深く学ぶためにギフテッド教育を学ぶ大学や大学院に通われていたり、書籍を出版したり、SNS等で発信したり、力強く活動されている方々を多く見かけるようになっている。
ご両親自身もギフテッドでは?と思われる、本当に素晴らしい聡明な方々ばかり。
情報発信してくださっていることに感謝でいっぱいだ!
(私も、少しは誰かの参考になればという思いと、発信することで逆により多くの情報が得られるのではないかという思いと、ただ単に自分の気持ちを吐露したり、記録を残す意味だったりで、細々とブログを書いたりSNSをやっている。
がしかし、才能不足と寝不足とエネルギー不足等々で、さして有用なことも書けず、お恥ずかしい。
でも続けるけど…。)
けれども、ほとんどのご両親は、日々をやり過ごすことに精一杯ではないだろうか。
(私も仕事を辞めてNZに来るまではそうだった)
現在の教育現場において、ニューロダイバースについて理解している大人の数が圧倒的に足りていないと感じる。
とりあえず今はとにかく、理解・経験している大人の数をどんどん上げていくことで、何かが変わるのではないかと思う。
日本のPTAの闇(←噂で聞いた)を未経験の私が安易に言っているだけで説得力に欠ける感満載ではあるが、多少の余裕がある人だけでも、積極的に教育現場に関われたら、少しずつ力になっていくのではないだろうか。
まずは、イベントの時はできるだけ積極的に参加して他の保護者や先生と話す機会を作るところから始まり、可能なら行事のボランティア(日本だと役員とかになるのかな?なんかすごい責任重大な響き…)をしてみたり。
こんな子がいますよってことを、先生や保護者にさりげなく伝えたり、もしやこの子困ってるのでは?というニューロダイバース(かもしれなさそう)な子どもに気づいたら、そっと声をかけてみたり。
もっと余裕があれば、本格的に教育や心理学を学んで資格を取れるなら、こんな素晴らしいことはない。
自分の子どもに適した居場所が見つからず、自ら教育関係の資格をとったり、適した機関や施設を作ろうと考えてみた人も、ひとりやふたりではないはず。
そして実際に動いている人もまた、ひとりやふたりではないはず。
私も何度か考えたよ!(そしてそっと、ライフワークリストに書き添えてページを閉じたけど…)
アメリカなどでは、ギフテッド教育の始まりが古く、今では既に、自らがギフテッド教育を受けてきた世代というのが、大人になり、親になり、教育に関わるようになってきている。
この世代の説得力は、すごいと思う。
こうして、ギフテッド教育が進化していくのだろう。
日本ではまだまだ私のように
「子どもがギフテッドというものらしいんだけど、何それ、どうすれば良いの???誰かヘルプミー!」
っていう人でいっぱいだと思うんだけど、だからこそ、私たちが今、声を上げたい。
「困ってる子がいますよー!」
「困ってる保護者がいますよー!」
そして本人たちに、伝えよう。
「あなたは何も悪くない。一緒に考えよう。一緒に頑張ろう。」
そして少しずつ、教育現場が変わっていき、私たちの子どもの、その子どもの時代くらいまでには、すべての子どもが、自分に適した環境で学びのサポートが受けられることを、祈っている。
例え今すぐではなくても。
(もちろん、欲をいえば今あれば最高!でもうちの息子には、私と夫という強い味方がいる。私たちは知識と経験は足りてないかもしれないが、全力で向き合う準備が出来ている。そういう意味では息子はラッキーだ。でも世界にはラッキーでないニューロダイバース児もたくさんいるから、私たちが何かすることで、少しでも未来の彼らのために道筋が作れるなら、それはそれで素晴らしいと思っている!)
ともあれ今は、新しい副校長先生にお会いして、お話しできる日を楽しみにしている我が家でござる!
そういえば、いろんな人に読んでもらうため、こんなの参加してたのでした。
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うちの長男はこんな子です
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日本は色々あっていいなあ〜。
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