センサリー(感覚)アセスメント(4)ー結果レポート後編

発達凸凹
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前回の記事にて、それぞれのテストや聞き取りの結果を書いてきたので、後半はいよいよ、まとめに突入。 OTさんの全体的な所見と、これからのプランニングについて。

まとめ(Summary)

感情コントロールができないこと、感覚処理障害があるように思われることを心配して、両親が診断を希望。本人の気持ちに寄り添うためと、本人がハッピーに生きていくために必要なサポートを与えることが、両親の希望するゴールである。
彼はエネルギー溢れる素晴らしい男の子で、やる気になると、様々なアクテビティに果敢に挑戦することを好む。
両親からの情報と、本人とのアセスメントをもとに鑑みるに、感覚処理の問題があると思われる。そしてその問題が、日常生活に影響を与えていると思われる。通常、同年齢の子供は適切な環境で適切な振る舞いができるが、彼の場合は、感覚処理障害が適切な振る舞いをブロックしている可能性がある。
脊椎ガラント反射と緊張性迷路反射が統合されていない。これが、社会性や感情コントロールに影響を与えている可能性がある。
アイトラッキングに困難が見受けられる。
また、本人の興味、得意分野、家族のバックグラウンドを鑑みると、ギフテッドの可能性がある。判定のために、教育心理学者によるスクリーニングを提案。いくつかの問題は、刺激が足りないために起こっている可能性がある。抱える問題と共に、強みも把握して、学校内外で興味のある分野への挑戦など、サポートしていくことが大切。

本当はもっと長く長く、その根拠なども書いてくれていたが、前半の検査結果と重複するので概要のみ。
一番初めに、私たち両親にとってのゴールが明記されていたのが嬉しかった。たとえ同じ症状や特性を持っている子供でも、ゴールと思える到達点は家族によって異なると思うので、私たち両親にとってのゴールを知り、添ってくれることで、信頼関係を築ける気持ちになった。
そしてここでもまた、感覚の問題はあるものの、社会性や感情コントロールの問題は、私たちが疑っていたADHDやASDなどの発達障害よりは、ギフテッドネスが原因となっているのではないかと記されていて、それが驚きだった。
つまり、OTさんは、知的刺激が足りないが故の退屈さで、ギフテッドの特性としての感情OEが大きく出ているから、センサリーダイエット(適切な知的刺激を与える、不要な刺激を控える)を実行することで、感情面も落ち着いてくるのではないかと見立てているのだ。それが本当ならば、どれだけの希望が見えてくることか!
ギフテッドネスがあったとしても、おそらく発達障害を抱えている2eだろうと思っていた私たち夫婦にとっては、初めて希望が持てる要素をもらった気持ちだ。
改善のための努力ができるなんて!!!

今後への提案(Recommendations)

上記の結果から、困りごとの改善や、本人の将来のために、いくつかの提案がされた。

ー原始反射の統合のための、家庭でできる作業療法プログラムを推奨。
ー保護者と学校も含めた、教育に関する話し合い。(問題が起こる前に、先回りでの対策を推奨)日常生活や学校のルーティーンにおける、適切な環境づくりや、精神的に穏やかに過ごせるようにするためのツール等を検討。
ー感覚運動の実施と、日常生活におけるセンサリーダイエットの計画。本人が快適と感じる感覚の状態を作ることで、情緒を安定させる。 OTが作成。
ー環境を整え、修正することで、日常のタスクをこなしやすくする。例えば:

  • 家庭と学校でのルールを一貫して明確化。環境が違っても責任感と自立心をキープし、社会性の発達を助ける。ルールは本人が確認、納得、またルールに従えなかった時には2分前注意を促すことで、移行を容易にしていく。更なるサポートのため、計画やルールは有意義で問題解決的であることが重要。また、「ジャストライト」チャレンジで、自己肯定感や自信を身につけていく。
  • 家庭や学校にて、スケジュール・チェックリスト・インストラクションを視覚化する。これによって日常ルーティーンの変化、タスクをお願いすること、決まった時間や決まっていない時間を理解しやすくする。
  • 本人に、やり方を伝えたり、質問をする時に、完全に注意がこちらに向いているか、毎回確認する。(やっていることを一度止めて、目がこちらを見ていることを確認)また、説明や質問の後に、伝えたことを復唱させて、能動的に聞き、理解したことを確認。
  • 椅子にセラピーバンドを付けてみる。食事など、テーブルでの活動中に、足で押したり触れたりできるものがあるのは効果があるかもしれない。着席、離席時に、そこにバンドがあることを思い出させる。

ー OTのアドバイスに従って、日常ルーティーンの視覚化をする。
ー感情コントロールの作業療法の実施(10〜12週間)。これによって、様々な環境で使える言葉を練習。大人が、感情をどのようにコントロール・マネージしているのかの見本を見せ、社会性のスキルを学ばせる。他人がどのような視点でどう感じ、どう考えているのか、どのように他の人と共同作業をしていくのかを理解する。自分の怒りの感情をマネージすることも同時に学ぶ。プログラム全体を通して、どう行動したら自分が気持ち良いか、という手法が大切。
ー両親により2週間分のデータを提供してもらい、(感覚運動も含め)デイリールーティーンの修正を行う。
ー教育アセスメントの実施を提案。学習、とりわけ学校で習う教科における得意と不得意、を明確にする。ギフテッドと2Eの分野での経験がある、教育心理士による実施が望ましい。
ーアイトラッキングに困難が見られるので、発達オプトメトリストによる検査を推奨。

上記は、全てすぐにやるべきというわけではなく、ゴールに向かってトライしてみる価値のあるものを列挙したので、本人の様子とタイミングを見ながら、優先順位をつけて試してみましょう、という話であった。
我が家の場合はとりあえず、
・毎日5分程度の「原始反射統合エクササイズ」を30日間
・マンツーマンの自宅療育で「原始反射の統合」と「感情コントロールプログラム」を週1ペースで10週間、やってみることになった。

受けてみた感想

今回、ブログの記事を書くために細かくメモをとりながら翻訳作業してみたら、以前は気づいてなかったことなんかもちょこちょこあって、反省。やはり、こういう大切な文書はきちんとメモしながら読むべし。(前に読んだ時は、子供の寝かせつけついでに暗闇ベッドの中で読んだ)

全体的には、すごくよく見てくれているなという印象だ。初めの電話カウンセリングから、今回のレポートまで、あくまで私たち親が何をゴールとしているかを確認して、それに寄り添った提案をしてくれるところも、とても好感触。押し付けや決めつけの感じもなく、一貫して気持ちよくアセスメントを進めることができた。来週からスタートする自宅での療育セッションについては、また今後、書いていきたい。

また、こんなに長いアセスメントレポートの結果をブログにて公開して「はて、こんなん需要があるのかな?」と甚だ疑問だけれど、私たち夫婦はアセスメントを受けるときに、アセスメントによって何が分かるのか、何が分からないかを知りたかったのを思い出し、公開してみた。(あと自分の覚書用)
公的機関でなければ、それなりにお金もかかることではあるし、どなたかの参考になれば幸いでございます。

ちなみに、費用についてはいずれまたまとめてみようと思っているけれど、このアセスメントと前後の面談全て合わせて1,000 NZドル(約8万円)くらいという感じだ。最初は「高っ!」とビビったが、これまでもやっていた気持ちと今の気持ちを比べると、十分に納得のいく金額だった。
とはいえ、結果が納得のいくものだったからかも。これで結果が「発達障害グレーゾーンですね」であったならば、かなりもやっていたと思う…。

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