センサリー(感覚)アセスメント(3)ー結果レポート前編

発達凸凹
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感覚処理障害の香りがぷんぷんする我が家の長男(6歳)、だいたいこんな内容でアセスメントの結果レポートが出てたよ。
ということで、今回はいよいよ、レポートの前半の詳細をご紹介。実際に書かれていた文章を、ざっくりと私が翻訳したものになります。

この時点で、 OTさんの中で最も可能性が高いのは「ギフテッド」であると正式に伝えられる。
日本だと、医師資格を持っていない人間が診断名を口にするのは「ダメ!絶対!」的な圧を感じていたので、OTさんが所見にしっかりと書いていてちょっと驚き。
「ギフテッド」が医療用語でないからなのかも?

それでは行きます。
長くなるよー。

長男4歳の時に制作した切り絵。色や形のバランスがとても私好みだった。

受診の経緯(Reason for Referral)

アセスメント実施までの経緯。
Dynamic Developmentという作業療法士さんの団体を通して、アセスメントに至った。
(Dynamic Developmentまでの経緯は、別の記事でいずれ。)

バックグラウンド(Background information 出生の経過や家族の精神病歴等)

妊娠中や出産時に大きな問題がなかったことなど。
それから両親の知的・精神的背景。私も夫も、中学まで地元の公立校に通っていたのだが、幼少時は至って成績がよかった。私は埼玉の田舎に育ったのだが、小中学校でとても居心地悪く感じていたことなど、話したことが書かれていた。家族歴では、私の甥っ子が発達障害グレー、その子の母親である私の姉は、今振り返るとおそらく2eだったと思われることなど。

過去の受診歴 (Professional Involvement)

日本を発つ直前に、近所の発達センターにて、簡単な発達検査を受けたこと。心理療法士さんによるアセスメントだったので、診断名は出ていないけれど、知的レベルは同年齢の子供の平均よりやや上くらい(突出してはいない)。身体能力については、筋緊張の弱さなどを含め、いくつか指摘されていることなど。
日本でもらったアセスメントシートを翻訳して渡してあったので、それがまとめて記されていた。日本で検査を受けるまでに何ヶ月も待ったので、結局検査が出来たのが出国直前になり、その後医療機関へとつながる時間がなかったことも。

アセスメントの内容 (Assessments administered)

日本でのセンサリーアセスメントがどんな内容になるのか私は知らないのだが、こちらでは下記が一般的なプロセスの様子。ネットで調べたところ、両親へのアンケートは日本でも同じ様式のものが使用されている用なので、こういうセットなのかな。ウオールモデルに関しては、これに当てはまるような分かりやすい記述がネットで見つからなかったのは、私のサーチ能力不足か、彼らのオリジナルなのか?。下記の内容が実施されました、という記述。

– SP感覚プロファイル – 両親によるアンケート(Sensory Profile 2 – Parent Questionnaire) 
– 各分野ごとのスキルチェック(?しっくりくる日本語が見つからない) (Wall Model of Occupational Performance) 
– 両親との面談(Parental interview) 
– 専門家の観察(Clinical Observations)

両親からの聞き取り (Parental interview)

初めの電話で話した内容と、後半のズーム面談で話した内容などが、こちらに反映されていた。
とにかく、話した内容は全て細かくレポートに記載されているので、他のOTさんや、最終的に診断をしてくれる小児科医と、全ての情報がシェアできるようになっていて素晴らしい。
また、最後の項目にOTさんの所見が書かれていて、ここで初めてギフテッドに言及されていた。
これは、このアセスメントより前に受診した小児科医の意見と同じで、その小児科医には「 OTの率直な意見を聞きたいので、医師がギフテッドだと思うと言ったことは伏せておいてほしい」と言われていた。

内容は、いくつかの項目に分かれていて:
ー自立(Self Care)
基本的には何でも自分でできるけれど、集中力を失いやすいので家庭ではゲームやレースにしてあげることが多いこと。現在は寝付きは悪くないし、夜に起きることもなくなってきたけど、未だに寝るのは好きじゃなくて、起きてやりたいことがいっぱいあると、しばしば文句を言うこと。食事はスプーンやフォークを使えるけど手が出ることも多い、偏食があり、新しい食べ物には消極的であること等。
ー生産性(Productivity)
学校での進級状況。学校では特に問題ないこと。
ー趣味(Leisure)
立体の空間認知が得意。工作、レゴ、数字、算数、お絵描き、迷路、点つなぎ、クイズが好き。クリエイティブで、発明家、新しいことを学ぶのが大好き。忍者、ポケモン、スーパーヒーローごっこが好き。数字、宇宙、ソーラーシステム、動物、恐竜に興味がある。家族で一緒に、公園、水泳、ゴンドラ、リュージュなどを楽しむ。母親とは、アートや工作を、父親とはふざけっこをして遊ぶ。家族みんなで本を読むのも好き。学校が終わると、毎日必ず校庭に出て、最後のひとりになるまで遊んでいる。
ー社会性と感情コントロール( Social-Emotional development)
両親の持つ長男のイメージは、賢く明るく好奇心旺盛。 学校で友達はできるが、ふざけ始めるとやめるタイミングが分からず、落ち着かせるのが大変な時がある。 大人数よりも、1対1の関係の時の方が、落ち着いて振る舞い、自分を律しやすい。特に母親と二人きりの時はかなり落ち着いている。 家庭では、かなりやんちゃで、家中を走り回っている。 空気を読むのが苦手で、短気。何かを待つことや、欲しいものを我慢できないことが多い。 シェアは好きじゃない。 弟に関することとなると、とてもやきもち焼きで、手が出やすい。弟がそばにいると、些細なことでも気が散る。大好きな遊びをしていても、そばで弟が別の遊びをしているだけで、気が散って集中できなくなる。 刺激の多い環境に行った後は、話し方や行動が攻撃的になる。 自分が批判されることがとても苦手で、両手で耳を塞いで聞かないようにする。 嬉しい時にも興奮してしまい、他の人を叩いたり上に飛び乗ったりしてしまいやすい。 睡眠不足になると、怒ったり、機嫌が悪くなったり、泣いたりしやすい。
ーその他
下記の通り、本人の発達状況、興味の範囲、家族のバックグラウンドなどを鑑みて、ギフテッドである可能性が指摘される。それとは: 
 ● 2020年末に日本で受けたWPPSI-IIIテストで平均を上回る点数だった 
 ● 両親ともに、子ども時代の学校で成績良く、勉強を退屈だと感じていた 
 ● 算数や複雑な遊びを好むこと 
 ● 過集中の時があり、それが邪魔された時に強いストレスを感じること 
 ● 物事に秩序があることを好み、やることややり方を指図されることを嫌うこと 
 ● ゲームをするとき、とりわけ弟とする時に、自分の思う通りに進むことを好み、そうならないと怒り出すこと

本人の検査結果と観察内容 (Observations and assessment)

1回目のセッションでは興奮状態で、終始、家具から家具へと飛び跳ね続けたり、自分のおもちゃなどを見せるために走り回っていた。算数の問題や、サイコロを使ったゲームには強い興味を示して取り組めた。
ー微細運動 (Pencil skills) 年齢相応の発達が見られる。(詳細割愛)
ー眼球運動 (Eye tracking) ペンを目で追って正中線を越すこと、融合すること、素早く注視することに困難が見られる。
ー粗大運動 (Gross motor skills) 年齢相応の発達が見られる(詳細割愛)が、目を閉じて片足で立つ動きには困難が見られた。
ー原始反射 (Primitive reflex) 2回目のセッションで実施したこちらのテストは、視覚的に確認できるようにリストを示し、共にチェックしていくことで、とても落ち着いて取り組めた。(←1回のセッションの後でこの対策を出来たのは、さすがプロだなーと親の私は思った)

・モロー反射(Moro) → 4/4
・緊張性迷路反射 (Tonic Labyrinthine Reflex) → 0/4
・非対称性緊張性頸反射(Asymmetric Tonic Neck Reflex)→ 4/4
・頚椎ガラント反射(Spinal Galant) → 0/4
・対称性緊張性頸反射 (Symmetrical Tonic Neck Reflex) → 4/4

上記の数値は、各反射を0〜4の5段階に分けて評価しているそう。4なら完全に統合で、0は残存。長男は、上記2つが完全に残っていた。原始反射について、色々と思うところあるので、また記事を書きたい。

感覚処理について (Sensory Processing)

ー感覚鈍麻 (Low Registration) あり
ー感覚過敏 (Sensory Sensitivity) 強くあり
ー感覚探求 (Sensation Seeking) あり
ー感覚回避 (Sensory Avoiding) 強くあり


こちらも、それぞれ鈍麻、過敏、探求、回避の説明とともに、同年齢の子供に比べてどの程度の傾向があるか、書かれていた。長男は全てあり。子供の場合、本人が説明できなくて、親が書くアンケートによってこの数値が出るので、ここはまあ、そうだろうな予想通り、自分たちで書いたし、というのが感想。

両親の観察における感覚処理の現れ方(Sensory processing of significance, as identified by parents)

両親が記入したアンケートが4つの分野ごとに、数値化されて表に示されている。項目多いので割愛するが、例えば感覚鈍麻では、「でこぼこの道で突然転びやすい」などの質問。それに対して1〜5の数字で回答。長男の場合、全ての項目が4もしくは5だった…。
(4=Frequently; approximately 75% of the time5=Almost always; 90% of the time or more との注意書)

感覚機能(Sensory system)

ー聴覚(Auditory)過敏
ー視覚(Visual)通常
ー触覚(Touch)通常
ー運動(Movement)過敏
ー姿勢(Body Position)過敏

ー味覚(Oral)過敏

さらに、私たちがアンケートの中で書いた備考が全て記されていた。
長男の感覚過敏問題は、生まれた時からずっと悩まされてきた(が、ほとんどの過敏は、確実に薄らいできている、もしくは、慣れてカバーできるようになってきているけど!)ので、長い長い備考となったため、割愛する。
「大きな音は苦手でトイレのハンドドライヤーも最近まで使えなかったくらいだが、自分で大きな音を出すのは大好きで、何かを叩いたり、大声を出したりする遊びは繰り返す」など、アンケートで説明しきれなかったことが山のように…。
過敏と探求が混ざっていると、アンケートだけでは説明できない状況がたくさんあるなあと思うこういう数値ではない部分でどれくらい汲み取れるかで、専門家のクオリティは決まるのかもしれない?

社会性と感情コントロール(Behaviour and Social-Emotional)

同年齢の子供に比べて社会性や感情の問題が見られるが、上記に示される感覚処理の問題に起因すると考えられる。

感情コントロールの苦手さなどは、「発達障害特有の右脳の未発達」によるものだと考えていたので、これは「???!!!」だった。
であれば、改善の余地も大きくあり、ということ???
今後のテストや医師の所見などを待つが、なんとなく希望…。

学校でのサポート(School supports)

学級担任からは、本人の感覚処理に関して特にコメントなし

親からしたら別人かと思うほど、学校では完全に特性を封印しているらしいので、担任にも同じアンケートをお願いしたのだが、全て0だった。(担任が厳しい人とか、よく見てくれていないとかでは、全然ない!)まだこのクラスに入って2ヶ月なのと、科目によってレベル分けがされる関係で長男はあまり担任から直接習っていないのも、原因かもしれない。うっすらとサインは出していると思うのだけれど

長くなるので、とりあえずここまで。
次の記事はこの続き。
いよいよ、OTさんによる「まとめ」「今後への提案」へ!

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