NZ公立小学校で習熟度別に教える方法

NZ教育
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以前の記事にて「ニュージーランドの公教育は年齢に縛られず習熟度を重要視する」と書いた。
私自身が初めてこれを聞いた時、
「それは素晴らしい!しかし一体どのように?」
と不思議に思ったものだが、実際に息子を通わせてみて、そのやり方に感心したので、ご紹介。
ちなみに、息子の小学校の全校生徒数は全9学年(year 0 から year 8)合わせて700人弱。人口の少ないニュージーランドでは「巨大な小学校」と言われる。

大きな小学校だからこそ可能な方法なので、他の小学校でどのようにされているのかはよく分からないのだけれど、また情報あればブログに書きまーす。

息子のクラスで飼ってるカエルくん。週末に連れて帰る当番の時がある。

2学年混合クラス

year 0を終了し、year1になると、いよいよ本格的なカリキュラムのスタートとなるわけなのだが、このyear1になる時に割り振られるクラスが、自分の所属クラスとなる。そしてこのクラスは、2学年ずつの混合クラスである。

  • year 0
  • year 1 and 2
  • year 3 and 4
  • year 5 and 6
  • year 7 and 8

の5段階。
「年齢に縛られず各自適切なレベルの学習をするため」
「同じ教室に2年間在籍することで、落ち着いた学習・社会環境を得るため」
というふたつの目的があると説明された覚えがある。

2学年混合のメリットは他にも色々あり、周りに出来なくて困っている人がいたら助けてあげる習慣がつく、自分より色々なことが出来る人を見たり話したりして刺激を受ける、などなど。
全学年混合だと、幅が広すぎて教師側でも管理が大変そうだけど、2学年くらいだとそこまでの差がなく、まとめやすそうなのも良いと思った。
ちなみに、1クラスの人数は20〜25人くらいだ。

4つの教室ごとにまとまりができている。

そして、これまたよく出来ていると思うのだが、教室が4部屋ずつセットになるように建物がデザインされている。廊下には作業机や棚が置かれ、休み時間の遊び場にもなっているのだが、その廊下の空間をぐるりと囲むように4つの教室が向き合い、この4クラスごとにチーム名みたいなもの(?)が付けたれている。
この4クラスのメンバーは日々廊下で顔を合わせるし、行事の時なども同じチームとして動いているので、親しい仲間となっていくようだ。
(ちなみに、息子の学校は人数が多いので、下記のようなYear1+Year2の4クラスグループが、2グループある)

例えば、room 1から Room 4 まであるとしたら、教室はこんな感じの並びになる。

各クラスを4つのレベルに分ける

さて、こうして2学年混合クラスが4クラス、仲良く並んでいるのだが、授業になると、各クラス内を教科ごとに4つのグループに分けている。

例えば Room 1 の中では、こんな感じ。(各レベルのボリュームは完全に適当な推測)

4つというと細かく聞こえるが、2学年混合の中で4つなので、ひとつの学年を「早め」「ゆっくり目」の2つに分けていることになる。そう思うとそう大きく分けられている感じはしないが、2学年混合により、チョイスが2種類ではなく、4種類になるのだ。つまり、この4種類の中に限っては、学校・保護者間の特別な話し合いや厳正なレベルチェックなどを経ることなく、教師の力量でどんどんと適正なレベルを試してみれるのだ。そのその大らかさと言うか、柔軟性というか!

そして、それぞれの教科の時間になると、自分の割り振られた教室へと一人ひとりが移動していく。
下記の図参照

すごくないだろうか???
(私は感動した!みんなはどうだろう???)
これなら、教師の負担を最低限に抑えながら、子どもたちのチョイスをかなり広げてあげられるのではないだろうか!

ちなみに、NZは全体的に総合的学習を推進しているようで、息子の学年だと教科は算数、読み方、書き方の3種類。当然、それぞれの教科ごとに、自分の属するグループは異なる。
息子は、前学期はなかなか自分のクラスが覚えられなくて、毎回先生に聞いていたらしいが、今学期になってやっと覚えられて、サクサク移動できるようになったらしい。
ただでさえ感覚過敏でザワザワしている学校の環境に疲れやすいので、初めの頃は心配していつ担任に相談しようかヤキモキしていたが、先日の三者面談で今はニコニコ自分で移動できていますと聞き、ほっとした。先回りしすぎなくてよかった〜。

ちなみに、教科としてはその他に体育やPBL(Project Based Learning)などがあるが、そちらはレベル関係なくみんな一緒に行っている様子。あと、理科や社会などは、単一の教科としてではなく、算数読み書きのテーマとして出てくるらしい。例えば、今月は宇宙がテーマ、だと、宇宙の本を読んだり、宇宙について書いたり、宇宙の何かについて計算したり、という風に。(教科書というものが存在しないので、まだ私もよくわかっていない!)
まだまだ知らないことがいっぱいあるので、また色々と聞いてみたい!
が、息子、学校のことほとんど記憶にない!
(これは特性というより、普通に小学生男子であるということだろう…)

日本の公立小学校と比べて

改めて日本の公立小学校と比べてみて、ニュージーランドのチョイスの幅の広さに驚く。
日本であれば、まずは年齢でバッサリと学年が決められ、さらにその中では平均水準の子に焦点を合わせた授業が行われるのみ。チョイスはひとつ、というかつまり、ノーチョイスだ。
対してニュージーランドは、前の記事に書いたように、まず入学して1年生(year 1)になる時点で、年齢ではなく、習熟度や本人・保護者の希望が鑑みられる。そして1年生になった後にも4つのレベルのの中から最適なものを選ぶことが出来る。
(ただ、year2の後半とかは先取りどうするの?と思うけど。おいおい知ることになるのかな。)
もちろん、ハイリーギフテッドと呼ばれる、ものすごく進んでいる子には全然足りないとは思うけど、この程度のチョイスが全ての子どもに開かれていることは、多くの子にとっては、学びが「難しすぎず」「簡単すぎず」「適度なチャレンジをすることで自分が高まっていく楽しいもの」になりやすく、プラスしかない制度だと思う。
(強いて言えば、日本の文化だったら妬みとかいじめとかの対象になる可能性???考えるのも嫌だけど嫌だけど嫌だけど…)

もちろん、日本の学校って素晴らしい!と思う点も山のようにある(栄養バランスの取れた美味しい給食とか、みんなお行儀よく丁寧なところとか)から、今の息子にとって足りないもの、必要なもの、合ってよかった物などを、バランスを見ながら、また帰国の時期など決めていけたら良いなと思っている。

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