発達障害児のサポートを色々と調べるうちに、日本とニュージーランドの考え方の違いがぼんやりと見えてきたので、忘れないうちに書き留めておこうと思う。
ざっくり言えば、日本は住み分けを、ニュージーランドは共生を目指している感じがしている。
小さな街に住む私の体感部分も大きいので、オークランドなどの都市部ではまた違うかも。
また日本についても、私は東京にしか住んだことがないので、地方の状況など違うのかも。
棲み分ける日本、共生するニュージーランド
どういうことかと言うと。
日本は、困っている子どものために特別な箱(発達支援センター、療育センター、放課後デイ等)を用意し、そこに集めて訓練などをし、通級できるかなと思うと普通級に戻していっているイメージ。
定型発達児と非定型発達児は基本的に住み分け。
折り合いつけられるなら定型世界に入れる。
だから、普通の学校の中ではなかなかうまくいかない話も聞く。
ニュージーランドは、普通の学校内で多様性を高めていき、困っている子のサポートと受け入れを学校内でやっていくイメージだ。インクルーシブ型。ちょっと変わった子がいても周りは気にしない。本人が困っていたら、アシスタントティーチャーなどのサポートを入れる。
その代わり、療育など、積極的な凹のトレーニングをしようと思うと民間に頼ることになり、高額だ。
日本の今
我が家はまだ日本で就学させていないので、間違っているのかもしれないが、一般的な発達障害における、国や自治体によるサポートという意味では、現在の日本の方が進んでいると感じる。
発達支援センター、支援学校、支援級、放課後デイサービスなどなど。ハード面は増えてきているし、そこにおける発達検査、療育などのソフト面も、確実に改良が重ねられているのではないだろうか。
日本を出る少し前に慌てて駆け込んだ東京の発達支援センター(未就学児向け)は、新しく綺麗な建物で、数ヶ月の待ち時間はあったものの、検査から相談まで無料でやってくれたし、心理士さんの指摘などもとても的確だと感じた。
相談員、心理士、運動療法士さんが3人でチームを組んで向き合ってくれて、あのまま日本にいたら、おそらく順調に療育にもつなげてもらえていたのだろうな、と思う。
手厚いな、すごいな、と感じた。
しかし、SNSを始めてから、学校の理解が得られにくいという話が山のように耳にする。
思うに、やはり多様性を受け入れられない学校の風潮が問題になっていると感じる。
基本的な考え方として、専門機関でできるだけ「定型に擬態する方法」をトレーニングし、目標は「擬態して普通の学校生活を送ること」のように思える。
だから、学校のシステムは「定型児のための最適」に調整されている。
最近は日本でも、インクルーシブ型として教室内で多様性を受容する方向の学校もあるらしいし、全ての教員は一度支援級を経験するべきだとする動きもあるらしい。
これらが良い悪いは別として、専門家に任せっきりではもう済まされないくらい、ニューロダイバースの波は認知されているようだ。
ニュージーランドの今(私の経験から)
現首相のアーダーン首相の思想もあり、ニュージーランドは国全体が「インクルーシブ」(包括)と「ダイバーシティ」(多様性)を強いポリシーとしている。
基本的に公立学校は、多様性を受け入れるように政府からの要請を受ける。
困っている子供は、専門機関に送り込むのではなく、クラス内で受け入れ、サポートしていく方向だ。
SENCO(Special Educational Needs Coordinator)と面談した時のこちらの記事でも書いたが、困ったらSENCOに相談し、アシスタントティーチャーをつけてもらう、という流れになっているようだ。
私のごく限られた経験で言えば、学校側も担任もかなり柔軟で、物理的に可能なこと(予算が必要なこと等は別だが)であれば、大抵のことは協力してもらえると感じている。
そもそも、学校に限らず、社会全体が多様性受け入れに動いていて、ニューロダイバーシティも当然ながらそのムーブメントに含まれるので、受け入れない人こそ恥ずかしい、という風潮があるのだ。
しかしもちろん問題も多く、例えば日本の療育施設のような、社会生活のための訓練をしてくれる公的サービスを聞いたことがない。
そういうものを求めるのであれば、民間の高額なセッションを受けるしかないのだ。
つまり、
「ちょっと変わってる子どもでもそのままの姿で社会に受け入れるよ、でも何らかのトリートメントを受けたいなら、自分の経済力でやってね」
と言う姿勢だ。発達検査も然り。
政府が学校に「多様性の受け入れを」を要請するのは、学外でサポートするだけの予算がないからだろう。
公立病院で、発達の診断や相談もやっているようだけれど、基本的には緊急順のウエイティングリストなので、激しい攻撃性があるとか、家族がうつ病になっているとか、よほどのことがない限り、12ヶ月近く待つだろうと言われた。最悪、困り感が小さければ、受診を断られる可能性もあるとのこと。
そういうわけでプライベートクリニックに行くのだが、NZのプライベートクリニックは、日本の「自費」以上に高額だ。
発達障害は民間の保険でもカバーされないことも多く、専門医なら30分の相談に3万円以上かかる。
その後も、発達検査に7万、WISC含むギフテッドのスクリーニングは10万超えと、かなりの高額。
WISCに10万円なんて、日本で聞いたことないと思う。
まとめ
ギフテッドに関する認知が浅いことさえ除けば、日本の医療機関、支援機関は、発達障害に関しては結構素晴らしいと思っている。
数ヶ月待てば診てもらえるし、無料もしくは格安だし、待ち時間の長さに関しても、今は多くの自治体は問題を把握して改善に乗り出している。
そして、自費のクリニックさえ、ニュージーランドよりは格段に安いと思う。
けれど、公立小学校を考えると、ニュージーランドの大らかさ、子どもたちがのびのびと過ごしている様子は、本当に素晴らしい。
授業中にちょっと変わった行動をしても問題とされないでニコニコしてるとか、みんな天使?って思う。
理想は、ニュージーランドの学校に通いながら、日本並の学外支援システムを使うことかなあ。
日本の学校改革が先か、ニュージーランドで専門機関ができるのが先か。
未来に期待だ!わくわく。
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