ニュージーランドには、政府も補助をしているギフテッド教育プログラムMind Plusというものがあるのだけれど、私たちの住むエリアでは今年は人数不足で今年はこのプログラムがキャンセルされてしまった。
現在通っているローカルの公立小学校のGATEはどうやら機能していない様子なので、他に何かないかと色々リサーチしてみた結果、民間塾を発見。
ここがなかなか面白そうだったので、ホリデー中に体験に行ってみた。
ニュージーランドにおける塾の存在
基本的に、ニュージーランドで小学生が受験のために塾に行くという文化はないようだ。
人口も学校数も多くないので、希望した学校にほぼ入れるとのこと。
私立に関しては、それなりの授業料なので、それを払える層と、募集人数にそれほど乖離がないというのもひとつの要因かなと思う。
なので、塾に行くのはむしろ学力に不安のある子供たち。
学校の学習についていけないことに、親もしくは本人が不安を持つと、塾に行ったり家庭教師を雇ったりするそうで、ビジネスとしては決して大きなマーケットではない。
Kip McGrath
そんな中見つけたのが Kip McGrathという塾だった。
こちらのセンターはニュージーランド全国とフィジー、サモアに65箇所あり、オンラインもしくは対面での独自のプログラムによる英語と算数の授業を行なっている。
入塾前には「フリーアセスメント」と呼ぶ、レベル判定テストがあり、子供たち一人一人の進度に合わせたカリキュラムをカスタマイズしてくれるのだそう。
日本でいう公文に近いのかな?という印象。
できる子はどんどん進めるし、ゆっくりな子は丁寧にゆっくり教えてくれるらしい。
学校でつまづいている子どもや、ホームスクーリング(NZではホームスクーリングという形が政府によって公式に認められている)の子どもたちがターゲットである様子。
ところが、私たちの住む街にあるセンターには、全国展開されているプログラムとは別の、ちょっと変わったプログラムが用意されていたのだ。
それが、Academy at Kipというコースだ。
Academy at Kip
「Creative daytime learning projects to extend and inspire your child」
と書いてあるように
「あなたのお子さんの才能を伸ばしインスピレーションを与えるための、クリエイティブな学習プロジェクト」
なのだそうだ。
このプロジェクトに向いている児童として;
- 少人数学習に適している児童
- ギフテッドもしくはタレンティッドで、その能力により伸長教育が必要とされる児童
- 特別な配慮を必要とする児童
- ホームスクーリングをしているが、十分に包括的、または社会性の教育が得られていない児童
などが挙げられている。
ギフテッドのためのみのクラスというわけではないが、学習障害やギフテッドのOEなど、ニューロダイバースを含め既存の教育スタイルに合わない生徒にとっては、かなり安心できる環境だろう。
そして、こうして書かれているということは、講師がニューロダイバース児童に関しての知識(願わくは経験も!)あると思える。
実際、電話で問い合わせた時に、長男の様子(感覚過敏、アフタースクールメルトダウン、お勉強は好きでむしろ得意等)を伝えると
「うちのスクールに通っている子たちにすごく似ているわ(笑)」
と言われた。
クラスの内容
授業内容はいくつかのプログラムに分かれているが、平日のデイタイムのコースは楽しそうなものがいっぱい。ちなみに、以下は今学期のプログラム一覧。
Brainery:
スペリング、ハンドライティング、ストラクチャードリテラシー、算数を学びつつ、人と交流し、社会的スキルや情緒面の成長を目指す。
カリキュラムは個々人のレベルをアセスメントし、最適なレベルにカスタマイズ。
STEAM(Shooting stars):
6〜8歳向。プラネタリーサイエンス、天体物理学、天体地質学を導入しつつ、子供なりに世界について科学的かつ深い考察をしてみよう。
STEAM(Lights, Camera, Action!):
9〜12歳向。光がどのように作用するのかを学びながら創造力を伸ばしていこう。フォトグラフィーとアート制作を通して、光の科学について学ぼう。
STEAM(Algorithms Around Us)
9〜12歳向。身の回りに溢れるアルゴリズムを見つけよう。コーディング、ゲーミング、算数の授業、お料理、言語、オンラインなどなど。
アルゴリズムを見つけ、それに沿って答やルールを導くことで、科学、算数、エンジニアリング、テクノロジー、外国語の習得などに自信を持って取り組めるようになろう。
長男の場合は今6歳なので、午前中にBrainery(3時間半)、ランチタイムを挟んで午後に2時間のShooting Starを受講を勧められた。
つまり、週に1回、学校を休んでこちらに通うということだ。
ホリデープログラムを体験
問い合わせが学期の終盤だったため、ホリデープログラムを体験してみることにした。
午前中3時間半のプログラムで、テーマはジオグラフィー(地理)とのこと。
当日、初めて訪れたセンターは、ショッピングモールのほど近くにポツンと建つ小さなビルの2階。
近くには地域唯一の高校や、綺麗で新しい図書館もある。
少し驚いたのは、お教室の隣がDynamic Developmentという、以前にお世話になったOTさんのオフィスがあったことだ。これまで、やりとりは電話とメール、セッションは自宅まで出張に来てもらっていたので、オフィスの場所を知らなかった。
確かに、受験対策用の塾という概念がないこのエリアで、わざわざ塾に通ってくるなら、発達障害がらみの子どもが一番多くても不思議はない。
色々な意味で、この2軒がお隣さんであるメリットはありそうだ。
お教室は巨大ではないが、すっきりとしていてモダンな印象だ。
ひとりずつブースに仕切られたコンピューターの席や、テーブルと椅子だけのフリースペース的なエリアなど、パーテーションで仕切られているが、基本的にはひとつの部屋。
見回すと、楽しそうな教材(ブロックやサイエンスに使うであろう様々な模型など)が収まった棚、壁には生徒たちのポイント表などが目に付く。
スタッフは3人ほどいたが、全員女性。
皆にこにこと明るくフレンドリーで、とても感じが良かった。
一歩入った途端に長男は突然静かになって、ほとんど喋らなかったが、早めについたのでレゴを出してもらって遊び始めた。私と夫は先生と少し話したのち、ちょっとだけ心配しながらセンターを後にした。
そして昼過ぎのお迎えの時間。
到着すると、テーブルの上にはたくさんの成果が並んでいた。
先生は「すごく物知りで驚きました!」と笑っていて、長男は興奮した様子で、テーブルの上のものを紹介してくれた。
本物のアンモナイトの化石のネックレス、石ころのように見える化石、マシュマロと竹ひごで作られた耐震モデル、イラスト付の元素表、粘土で作った火山の模型、地層のイラストは色鉛筆で色分けされ、名称が書き込まれていたり。
3時間半のクラスの割には、かなり盛りだくさんな様子。火山の模型では、ベーキングソーダにお酢を注ぐお決まりの実験などもやり、とても楽しかったようだ。
(しかし、これで90ドル=約8000円弱なので、決して安くはない)
人見知りの長男なので、他の3人の子供と声を掛け合う様子はなかったが(苦笑)、どうだったか尋ねると「めっちゃ楽しかったよ!」と言っていたので、ポジティブな印象を抱いた様子。ほっ。
新学期の1週目にとりあえず1日行ってみることにする。
新学期1週目の1日入学
そして体験入学の日。
午前中はBraineryで算数と英語を個別にPCで学習し、午後はSTEAMクラスなので、トータルで朝9時から午後3時まで。
学校を休むことにちょっぴり抵抗を覚えつつ(学校の友達が大好き)も、先日の体験が楽しかったようで、楽しみにしていた長男。時間の少し前にドロップすると、抵抗もなくバイバイできた。
1日はちょっと長いかなと、夫とふたりドキドキしながら日中を過ごし、午後3時。
次男をピックアップした後、家族みんなで長男のお迎えに向かうと。
夫の顔を見つけるや否や、満面の笑顔で駆け寄り、ピョーン!とウサギのように飛びつき、首に抱きついたかと思うと、肩にガブっと噛みついた。
乳児期に噛み癖があった(私の肩からデコルテにかけては常に青あざで紫に染まっていた)が、成長と共に消えていき、今は爪噛みに落ち着いて(?)いるので、他人を噛むのは珍しい。
笑顔はそのままなので、メルトダウンではなく、単純に過興奮の様子だ。
本人は「楽しかった!だが何をやったかはあまり覚えてない!」という、特性なのか典型的な小学生男子なのかよく分からない返答しかしないが、楽しかったのならまあ良いか!
(肩は本気で噛んでないので痛くなかったそう)
ちなみに、翌日には落ち着いてSTEAMクラスのことを話してくれた。
ロケットの模型を作り、斜めに張った糸を通して前進させるために、傾斜をつけたり、風船をつけたりして実験したらしい。
自分でデザインしたロケットに名前をつけたそうなのだが、長男は「ラッキーラッキー」と名付けて「ネーミング大賞」をもらっていた。
みんなそれぞれ賞を貰ったらしく、レッスンの最後には賞品ボックスから好きなものを一つずつ選ばせてもらった。長男は赤いスーパーボールを手に入れて、とても大切にしている。
先生から聞いたその日の様子
とりあえずその日は本人が過興奮状態だったため早々に退散。
自宅に帰ってもその日は興奮気味で、ソファーからソファーへと飛び回り続けていた。
あと、こういう日はちょっとしたことで泣いたり怒ったりしやすくなるので、少しビクビクするが、癇癪などは起こすことなく、いつもの時間に寝ることが出来た。
後日改めて、親のみで面談に。
勉強はやはりよくできていて、2〜3学年上の内容が良さそうとのこと。
心配していた社会面も全然大丈夫で、みんなに話しかけたり、助け合ったり、休憩時間には率先して遊んだり、先生曰く「ソーシャルバタフライ」の如く生き生きとしていたらしい(驚)。
午前中は基本的にPCを利用した算数と英語の個別学習。
時として、進度が近い子どもどうしでチームを組ませ、分からないところを相談できるようにしているそう。そういえば、長男はちょっと年上の女の子と組んでいたようで、後から聞いてみると、分からない問題が2つあり、それを教えてもらったと、嬉しそうに(でもちょっと悔しそうに)話してくれた。
午後のSTEAMクラスは、クラスメイト5名が一緒になって、手を使った作業や実験をしていく。
おそらく、この人数バランスも長男的には完璧なんだろうなと思う。
先生は、長男の家での様子、私たち親が心配している点、センター側でサポートしてほしいと思っている点など、丁寧に話をきき、メモをとり、私たちの質問に対して答えたり、一緒に考えたりしてくれた。
公立の学校ではある程度の人数を担任が一人で見なければいけないので、対応できないことも色々あるだろうと学校側に理解を示したうえで、センターでは少人数だからこそ柔軟に対応できると思うので、長男の学ぶ環境を整えるためにできることがあれば、なんでも伝えてほしいと言ってくれた。
結論 ー 通ってみることに!
まだ特に何が起こったというわけではないけれど、先生と話した時の感触や、理解を示してくれる態度に、とても救われた想いだった。
そして、長男がまだ2回しか行っていないのに、とても気に入ったから毎週行きたいと宣言したり、他の子どもと自信を持って付き合うことが出来ているなどを思うと、本人にとっても「安全で安心な場所」と感じられているのだろうなと思う。
というわけで、とりあえず今学期の全9週、通わせてみることに決定!
1日135ドル(約11,300円) と、安いわけではない(Mind Plusであれば75ドルくらいだったかな?)けれど、今後、彼にとってどんな学校、どんな学び方が最適なのかを決めていく上で、体験してみる価値のあるトライだと思っている。
願わくは、タームの最後まで、この笑顔で通い続けてくれますように!
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コーディング、プログラミング、学ばせてあげたいなあ。
まだちょっと多動とかがあるので本当は対面希望なんだけど、興味があればオンラインでもいけるのかな???
こちらのオンラインスクール、まだちょっと早いかもだけど、もうちょっとしたら行けそうな気がする。
初心者のためのScratchコースから、中級上級のHTML/CSS/Javascript、ITパスポート取得コースまで、進んでいけるのが楽しそうだし、なぜか女の子限定コースもあって、IT女子には気が楽なのかな😊
無料体験会がマンツーマンで90分というのも良いし、その後、体験クラスは、1ヶ月4回の通常クラスを5500円(通常13,200円)で体験できてしまうのも、素晴らしい。
あと1年くらいしたら、受けてみたいからメモしとく。
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ずっと気になっているリタリコ。
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うちの息子、こんな子です😊
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