前回の記事で、長男に残存する2つの原始反射の一つ、「緊張性迷路反射」について書いたので、今日は残りのひとつ、「脊椎ガラント反射」について、書こうと思う。
反射を使って生まれてきたんだなあ…。感動。
脊椎ガラン反射(Spinal Galant Reflex)とは
日本語では脊椎ガラント、ガラン、もしくはギャランとも言われる反射。背骨に沿って、右側や左側をそっと触ると、触られた側の筋肉が収縮して、触れた側の体を曲げたり、触れた側のお尻を持ち上げる。
産道を通る時に刺激に沿って体を動かすことで、上手に旋回して出てくるのを助けるための筋肉と言われているので、胎児期に現れ、生後2〜4ヶ月で消えていく。
確かに、長男は昔から体の横を触られると異常にくすぐったがる子で、「かゆい、かいて〜」と言うからかいてあげても、体の横にいくに連れて体をくねらせて逃げようとするので、私はよくイラっとして「ふざけるんならもうかかないよ。手が届くんだから自分でかきな」とか言ってたのだ。もしかしたらガラント反射のせいかもしれない。すまぬ。
統合されていない場合の症状
この反射が統合されていないと、背中のある部分に何か(手だけでなく、布や椅子の背もたれなど)が触れるたびに、体が勝手に動いてしまう。また、膀胱にまで影響が広がるのでおねしょにつながる。また、同時期に発達するはずの他の感覚にまで影響を与え、集中力が弱くなるのだそうだ。
つまり;
- じっと座っていられない(もぞもぞ、たえず身体を動かしている「そわそわ落ち着きのない子ども」)
- 注意力・集中力が低い
- ぎこちない歩き方
- 膀胱コントロール(寝ている時も反射が起きるので膀胱への刺激となり5歳を過ぎてもおねしょがある)
- 片側だけに残存していると、脊柱側弯症の発展要因となる
- 手先が不器用
- 運動やスポーツにおける身体柔軟性や機敏さへの影響
- 腰痛や強ばった背中
- 短期記憶に問題
- ピッタリとした洋服が気になり、ゆったりとした服を好む
- ズボンや下着などを、しきりと下にずらしてはこうとする
などだ。
最近の研究では、ADHDを診断された子どもの多くに、脊椎ガラント反射の残存が見られるという報告もあるという。
統合するためのエクササイズ(後半)
前回の記事で、前半を記したので、こちら後半。
- クロスクロール Cross Crawls (両足で立って、右肘と左膝をタッチ、左肘と右膝をタッチ、と繰り返す)
- フックアップス Hookups(腕と脚をクロスさせ、深呼吸)
- リズミックムーブメンツ Rhythmic Movements(腰の周りに刺激を与える)
以上が、現在OTさんと一緒に取り組んでいるエクササイズ。
Cross Crawls とは
Hookupsとは(うちでは立ってやってるけど、立ってる動画なかった…)
Rhythmic Movements とは(うちでは仰向けと横向きをやっている)
クロスクロールは元気に数を数えながら、フックアップスはダウンタイム的にやっている。
そわそわしているときは、タイマーを20秒とかにセットして、数字が減っていく様子を見ながらやらせたり。(数字好きなので、じっと見てる)
リズミックムーブメントに関しては、背骨に刺激があれば良いので、何かしながらでも良いとのこと。数字の好きな長男には、算数の問題を出したり、手におもちゃ持たせておいたり、ママと二人でゆったりできるので、本人気に入っている。
ちなみに、このほかにもOTさんからもらったリストには以下のものが。いくつかは、どうやってやるのかも全くわからないので、またおいおい、試していこうと思っている。
- Rock, roll, spin eyes open and close
- Play whilst laying on tummy
- Crawl on hands and knees with toy/beanbag tucked under chin
- Arms rolls
- Crawl on belly like a caterpillar
- Slide on back
- Back to back play – sit to stand
- Bottom walking
- Snow angels
上記の幾つかは、普通にゲームとして楽しそうなので、レースにしたりしてやってみようと思う。
また、最近息子はオセロやチェス、トランプなどゲーム系にハマっているので、カーペットに腹這いでやるように、日常生活の中で、促してみている(いつの間にか起きてあぐらをかいてることが多いけど)。
意外と周りにいるかも?原始反射が残存している人々
私自身、ダンスインストラクターという仕事をかれこれ15年以上やってきて、ダンスのテクニックとは全然別に、「どうしても姿勢がシャキッとしない人」というのが確実にいることを痛感している。そういう人は、もはや努力とかそういう問題ではなく、なんとか姿勢を直そうと無理しすぎると、結局ものすごい圧を体にかけてしまい、変なところに歪みが出ることさえあった。直してあげたいんだけど、どうしていいかわからないんだよ、ごめん。と、よく思ったものだ。
原始反射とは、全ての身体の発達の土台のようなものなので「原始反射が残っていると、身体トレーニングや感覚トレーニングをしても、反射が邪魔をしてなかなか体に入ってこない」と言われる。
これが正しい表現なのかは、専門家ではない私には分からないが、まるで目に見えない何かが邪魔するようにシャキッといかない種類の人がいるのは、ダンスインストラクターの体感として、よくわかる。
過去を思い出し、もしかして、あの子とか、あの子とか、原始反射残っていたかも?と思い当たる生徒さんがいるので、いつか会ったら話してみたいなあ。
根本解決という希望
多動、バランスの悪さ、など、発達障害に伴う症状の多くが、日常生活や学校生活において、困りごととなることは、よくあることだ。そして、発達障害の場合、基本的には「上手に付き合うために環境を整えること」「特性を、本人の個性と捉えて受け入れる」方向に、重点が置かれると思う。
それは本当にその通りだし、素晴らしいアプローチなのだ。
だがしかし、やはり、感覚過敏でへとへとになっていたり、公共の場で落ち着きのない子どもだと冷ややかな目で見られたり、なんとかしてあげたいと思う場面だって、ずっとずっとある。
そんな時に唯一、「積極的に、能動的に、根本解決につながり得るアクションを取れる」喜びを感じたのが、この原始反射統合エクササイズだった。
うちの場合は、とりわけ乗り物酔いが酷かったので、せめてそれだけでも!せめて!と、いう気持ちで取り組んでおります。
他にも「何かしたいのに出来ることが分からない」と感じている誰かのお役に立てますように。
原始反射にしては、とりあえずこれにて終了。
30日チャレンジを終えて、気づいたことなどあればまた書こうと思っているが、基本的に「魔法はない」という前提で長男に向き合っているので、気長にいくよ〜。
また、我が家の息子に残存していた反射以外にも、たくさんの原始反射があり、それぞれが違う症状の元となっているようなので、ぜひ諦めずに調べてみてほしい。
あと、ブログにて取り上げてほしいトピックがあれば、ぜひご連絡を!
参考にしたサイト(英語多め)
最後に、今回参考にしたサイトの一部。
やはり、英語サイトの方が圧倒的に情報多し。
項目チェックによる残存テスト(日本語)
一般社団法人ここからだ
個人的には、こういうチェックよりも身体の反応を見るテストの方が分かりやすいと感じたけれど、参考に!
脊椎ガラント反射の残存と、ADHDの関係性について(英語)
Brain Balance Achievement Center
こちらのページでは
「This results in the release and replacement of primitive reflexes with high-level reflexes. Brain retraining shows great promise as a treatment and even cure for ADHD.」
(残存した原始反射を統合が、結果の期待できる療法であるばかりか、ADHDを治療することにもなり得る)
とさえ書かれている。本当かいな???本当だったら、すごい希望ではないだろうか?
ガラント反射の残存を身体的にチェックする動画
Testing the Spinal Galant Reflex | Posturepro
とても分かりやすい!
ガラント反射の説明サイト・統合エクササイズ「スノーエンジェル」のビデオ付き(英語)
Polaris Therapy
雪の上でよくやる、アレですね。両手両足バージョンと、片手片足バージョン。
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座って行う作業(食事・学習など)の時に、椅子の足にセラピーバンドをつけるのも、OTさんに勧められました。
発達障害専用のものなども売られていますが、ニュージーランドではモノのチョイスが少ないので、近所のKmartにて、トレーニング用のゴムバンドを買ってきて代用しています。
多動がおさまったかと聞かれると微妙な気もしますが、次男もビヨンビヨンしたがるので、あちこちの椅子につけて楽しんでます。
薄ーいゴム製のはすぐに破れてしまったので、布製のしっかり目のものがおすすめです。椅子のサイズに合わせて。
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